香炉の底


今まであんなに毎日慌ただしく賑やかに暮らしていた私が、あまりにヒマな夜が突然やってきて

することもないし寝よっか、と思った時に、そういえばだんな様が「最近線香が立てにくいのぉ」って言ってたこと思い出し

お仏壇は朝は子どもがご飯とお水でご挨拶、夜はだんな様が寝る前にお線香を立てて今日一日のご報告の流れなのですが、珍しく出張でいないので

私が名代としてお線香を立てて、「そうだ、きれいにしておこう」と思い立ち

割りばしを持ってきてごそごそと。

そしたらだんだんムキになってきて、新聞紙とティッシュも持ってきて本格的に(笑)

今使っているお線香はベージュ色なので、目では灰と同化してて本当に見つけにくく、奥の方には緑色も見えてきて、そうか、緑の方が手入れは楽だな、とか思いつつ

そ~っとかき混ぜては何となく箸に当たる感触で探し当ててはつまみ出すことをひたすら夢中で繰り返した私。

そしてふと、この奥の方の緑のお線香はお義母さんが立ててたものかもしれないな、とかこのお線香にはどんなお願い事やどんなお礼の気持ちがこもっていたのかなと思うと

捨てるつもりのこのお線香の端っきれが、とっても愛おしく思えてきて、新しいティッシュにそっと丸めて、お仏壇の引き出しにしまいました。

今週末に全員集合するのですが、その時に見せてやろうと思って。

「神の子さん、神の子さん」と子ども達のことをいつもそういって可愛がってくれたおばあちゃんは、きっとこのお線香を立てる時

子どもたちの成長を願い、ご先祖様に感謝して、ありがとうございます、ありがとうございますと祈っていてくださっていたんだと思うのです。

だんな様が立てたベージュ色の線香は、今はまだいろんなお願い事の方が多いのかもしれませんが、きっと父親に日々の会社の報告やご先祖様への決意表明が込められているのだと思います。

そして、離れて暮らす子どもたちの無事を祈っているのだと思います。

今年は義母、子ども達のおばあちゃんの13回忌。週末の全員集合はおばあちゃんの実家へ行くためです。とてもいいタイミングに感謝です。



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