三月弥生の月に

早いものでもう三月。

「もう雛人形を片付けちゃうの?」
と夕飯の準備をしていたら聞こえてきたサザエさんの会話。
あちらはもう片付ける会話になっているというのに、我家は飾ってもいなかったのが26日の話。
そうだったねー、ゴメンゴメンと夕飯後、娘と二人大きな箱をよいしょ、よいしょと出してきました。
「段も出したいなぁ。」
という娘に、「寝るとこなくなっちゃうからねぇ。」とここ数年は、いえ最初の2、3年以降はお内裏様とお雛様のみ。
こうなることは見越して7段飾りではなく3段にしてもらったのですが、それでもこうなっちゃうんですよね・・・
8年前に亡くなった姉が、1回目の入院から退院した時、「自分のお雛様飾りたいなぁ」とぽつり。
姉には息子二人でしたから、兜は飾ってももう自分のお雛様を飾ることなんて、ずーっと無かったんですよね。
癌である事を知らされていた私は、とにかくなんでもしてあげたくて、すぐに出そう出そうと、物置に行って埃をかぶった箱を出してきました。
足りなくなっているネジや、さびがのぞいている板。チョッと色褪せたお飾りに髪が乱れ気味の三人官女。なんだか懐かしい匂いに包まれて、おしゃべりしながら飾りました。
姉もそれはそれは楽しそうでした。父も目を細めていました。当時2歳と9歳だった息子たちはものめずらしそう。
立派な七段飾りの前で写真を撮りました。
縁側には日差しが入り、とても穏やかな日だったことをはっきりと覚えています。
その次の年にはもう飾ることは出来ませんでした。
いろんな思いを秘めたたくさんのお雛様が、日本中の家のどこかで眠っているのでしょうね。

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