緑のリヤカー

濃い緑色のリヤカーをひいて、ゆっくりゆっくり歩くおじいちゃん。


「なんとおいしい 玄米茶」
という貼り紙の、この緑のリヤカーは、お茶が積んであるのです。
前々から、なんとおいしい、というフレーズがたまらなく、とっても気にはなっていたのですが、
麦茶派の子どもたち。玄米茶を飲む機会はあまりなく、声をかけるのもやっぱりちょっと勇気のいることで
ずっと、見てるだけ。
が、たまたまママ友と一緒にいるとき、「あ、お茶屋さん、ここの美味しいのよ、麦茶とかも。」という発言で
「あの~すみません。」
と、麦茶を買い求めました。
1キロ入って400円也。
「どのくらい入れたらいいんですか?」
「適当だよ、適当でいいよ。」
と、笑いながら。その返事も言い方もユーモラスで、「お好みですね~」なんて返事をしたら
「ま、2Lにカップ1杯くらいが目安かな、パックとかに入れるより、そのままバラっといれちゃってね。」
「はいはい、了解しました。」
「あ、このあめちゃんもあげるよ。あ、でね、あめちゃん舐めながら、麦茶飲みながら、僕ね、こんなん書いてるんだけど、よかったら読んでみて。
今ねぇ、『てっぱん』にはまってるんだよ。」
「私も毎朝、一泣きしてから仕事に出てるんですよ。いいですよねぇ、あの話。」
と、手渡された紙に大きく
『親いうもんは 子どものためやったら なんぼでも人生 さしだすもんや』
もうそれだけで、涙が溢れそうになりました。
その下には、おじいちゃんの想いがつづられてます。
緑のリヤカーのおじいちゃん、いっぺんにファンになりました。
誰とも話さなくても、ボタン一つで世界中のどんなものでも買える世の中ですけど、やっぱりこうやって会話を交わしながらやり取りするあたたかさ
いつまでも大事にしたいなぁ、と、改めて。
今夜は出来立ての麦茶の香りが、我が家の台所に広がるのです。

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